ラオスで最も美しい夜「オークパンサー」


 

みなさん、こんにちは。気付けば10月も終わりに近づきすっかり秋ですね。ラオスは雨季と乾季に分かれるので日本のように秋という季節は存在しないのですが、それでも10月中旬頃から朝晩が少しずつ涼しくなってきます。今回はこの時期にラオスで開催される「ラオスで最も美しい夜」と言われるイベント「オークパンサー」をご紹介します。

 

オークパンサーとは?

ラオスでは毎年10月上旬に「オークパンサー」と呼ばれるイベントが催されます。オークパンサーはお坊さんの厳しい修行が終わる日。日本語では出安居と言われます。お坊さんが修行に入る3ヶ月間、人々は結婚式などのお祝いごとを自粛し、人によってはお酒を断ち、慎ましく生活します。そしてこのオークパンサーで厳しい修行期間の終わりをお祝いするのです。オークパンサーの日程は毎年異なり月の満ち欠けによって決まるのですが、10月に入るとお寺や街中はランタンで飾られ華やかになり、ラオスの人々はみんなどこかお祭り前の浮足立った様子。またオークパンサーは雨季の終わりを意味します。例年オークパンサーの前後にざーっと降る最後の雨を合図に乾季に入ります。

 

お寺のライトアップ

 

  

ラオスで最も美しい夜 ルアンパバーンのオークパンサー

ラオス北部の世界遺産の街ルアンパバーンでは、街全体を上げてオークパンサーを盛大にお祝いします。お寺のライトアップはもちろん、街中ではイベントやマーケットフェアが開催され一週間程お祭りモードが続きます。中でもメインイベントはオークパンサー翌日夜に行われる船のパレード。ラオスで最も美しい夜として外国人観光客も多く訪れます。ルアンパバーンのメインストリートを何隻もの船が連なり、伝統衣装に包まれたラオスの人々と共にメコン川まで練り歩きます。

パレードの様子

 コロナウイルスの影響で今年は3年ぶりの開催。パレードには村や団体ごとに参加し、どの船が一番美しいかを競い合います。12ヶ月前から各村でお寺に集まって船の準備を始めるので、この時期にお寺を覗くと必死に船を作っている村人やお坊さんの貴重な様子が見られます。日本の祭りでいう神輿のようなものですね。

 

お寺で船の装飾に励むお坊さん

 

ちなみに船はメコン川に到着後、村の男性陣の手によって川に流されます。その後どこかで回収するのかなと思ったら、そのままどこかに流れ着くそうです。実は船はすべて竹やバナナの葉など自然のもの、もしくは再利用可能なボトルなどで作られており、流れ着いた村の人々がそれらの材料を再利用するそうです。「エコ」なんて言葉を意識しているわけではなく、昔からの伝統が純粋に環境に優しいんですね。なんて素敵な文化なんでしょう。

メコン川には船とは別に灯籠も流します。パレードに参加する人は「ロイカトーン」と呼ばれるお供え物の灯籠を手に持ち、そのまま一人一つずつメコン川へ流します。ロイカトーンはバナナの葉とマリーゴールドの花で作られており、オークパンサーが近づくとよく路上で売られている様子を見かけます。パレード当日も売っているので観光客でもこのロイカトーンを買えば一緒に参加することができますよ。船や灯籠をメコン川に流すのはメコン川の精霊「ナーガ」への感謝と敬意が込められています。ナーガはラオスになくてはならない守り神です。

バナナの葉とマリーゴールドで作られたロイカトーン

 

今回はルアンパバーンのオークパンサーをご紹介しましたが、ラオス全国で同じ日にオークパンサーは開催されます。大きなイベントがある地域もあれば、お寺にお参りに行くだけの地域も。首都ビエンチャンなどルアンパバーン以外の地域では、オークパンサーの時期にボートレース祭りが行われます。このボートレース祭りも圧巻です。日頃はのんびりしているラオスの男性たちもこの日ばかりは一生懸命に戦う熱い一日です。ちなみにルアンパバーンでもボートレース祭りは行われるのですが、他の地域より1ヶ月以上早い8月下旬に行われます。ラオスのイベントがいつもルアンパバーンだけ特別なのは、ルアンパバーンは昔ラオスが王国だった時代の王都だったので今でもその名残りがあるんですね。いつか他の地域のオークパンサーにも行ってみたいなと思っています。