みなさま、こんにちは。
だいぶ更新が滞ってしまったMAGAZINEです。楽しみに待ってくださっていた方々、申し訳ないです。お待たせいたしました!
さて今回は人気シリーズの織り物放浪記をお届けします。
ラオス北部に位置するルアンナムターへ行ってきました。ラオス旅行といえば、世界遺産のルアンパバーンや自然豊かなバンビエン、首都ビエンチャンが有名どころ。あまり聞き慣れないルアンナムター、果たしてどんな街なんでしょう。ちょっと長旅になったので、2回に分けてお届けします。それでは、ルアンナムターへの旅を一緒にお楽しみください。
ルアンナムターってどんなとこ?
ルアンナムターはラオス北部に位置し、中国とミャンマーに国境を接しています。知名度はあまり高くないですが(そもそもラオスがあまり有名ではない?)、実は欧米人に人気の観光地なんです。豊かな自然の中でのトレッキングや村でのホームステイなど、緑広がる田園風景や田舎生活を楽しみに来る旅行客が多い街。人気の観光地ルアンパバーンからは以前だとバスで7〜8時間かかっていましたが、ラオス中国鉄道が通った今はなんとたったの1時間半で行けちゃいます。
田園が広がる風景
少数民族のダイバーシティ
ルアンナムターは実は少数民族の多さで有名。ラオスには50の少数民族が暮らしていますが、そのうちの約20がルアンナムターに暮らしていると言われています。仏教国のラオスでは各村に必ず一つお寺があります。しかし少数民族が多いルアンナムターではアニミズム(精霊信仰)が宗教としては最も多く、県内に仏教のお寺は片手で数えるほどしかありません。ラオスの中でもルアンナムターにしか住んでいない民族や、ルアンナムター内でもなかなか会えない民族もいるらしく、聞くだけでワクワクしますよね!
村へ出発!
ルアンナムターの説明はこれくらいにして、村へ参りましょう!出発する前に先にお伝えしておきます。織り物探しの旅と言いながら、実は今回は織り子さんにはほとんど出会えませんでした。というのも、現在ラオスは雨季に入り田植えの季節。どの村も村人総出で田んぼや畑で一日中農作業をしています。そのため村には子どもかご年配の方しかおらず、織り物をしている姿は見られなかったのです。それを知っていても敢えてこの時期のルアンナムターを巡ってみたかった私たちは行ってきました。鉄道が通る以前は、特に北部では雨季は道路状況が非常に悪くて危険なため、なかなか雨季の旅行や長距離移動ができなかったんですが、今は鉄道のおかげで多少雨が降っても行けるようになりました。雨季の北部の様子を見られる、運が良ければ織り子さんに会えるかも、そんな冒険です。
レンテン族の村
最初に訪れたのはレンテン族の村。ルアンナムターに暮らす少数民族の中で有名なレンテン族。中国南部から約200年前に移住してきた民族です。そのためレンテン族独自の言語は中国語っぽく聞こえます。中には中国語を喋る人や漢字が読める人もいるほど、中国の文化をそのまま受け継いでいるんですね。それもそのはず、ラオスでは珍しい道教を信仰しています。
ここの村でまず驚いたのは、村人がとてもフレンドリーなこと。だいたい街から離れた場所にある村を訪れると、村人以外のよそ者や外国人に緊張しちゃって笑顔が見られなかったり、あまり話ができなかったりすることが多いんですが、この村の人たちはこちらが驚くほど愛想よく手を振ってくれます。子どもから大人まで本当に笑顔が素敵。ずっと子どもたちが後ろからテクテクついてきてくれる、愛らしい村散策になりました。
可愛らしい子どもたち
レンテン族の布と伝統衣装
レンテンとは中国語で「布を染める人」を意味します。その名の通り、染めや織りが得意な民族で、特に藍染めの布はラオス国内外でとても人気。レンテン族の織る布は、細かく紡がれた糸でしっかりと織られているのが特徴です。藍染めの藍ペーストは家の裏庭で採れる藍の葉から作っています。ラオスの他の村で目にする手紡ぎ手織り綿布とは全然違う風合いで、細糸で繊細な織りには素晴らしい技術が見られます。
細めの糸で織られた藍染めの手織り布
自分で染め織りした布で作った民族衣装を着るのがレンテン族のお決まり。女性は毎日の普段着として民族衣装を着用しています。(私たちが来たから着てくれているのかと思ったら、そうじゃなく通常モードらしくてびっくり!)レンテン族の伝統的な民族衣装は、黒に近い濃紺のズボンと長いチュニック、そしてピンクの絹糸がアクセントになっています。彼女たちは「衣服は自分で作ったものでなければいけない」と昔から教えられているので、店で売っている服はあまり好みません。素敵な信仰と伝統ですね。
意外と動きやすそうなレンテン族の民族衣装
今回は染めも織りもシーズンではなかったので、残念ながら実際の作業風景を見ることはできませんでしたが、去年織って染めた布を見せてもらいました。写真のお母さんが左手に持っているロール布がそうです。自分たちの服を作るために保管しているそうです。これでワンピースとか作ったら絶対に着心地良いだろうなぁと、まだまだストックがあるからと言われ、つい自分用に買っちゃいました!
レンテン族の刺繍
レンテン族は織りと藍染めの他にも刺繍が有名です。(なんて器用な民族!)そのユニークで可愛らしい刺繍の柄が大人気で、世界中からオーダーが入ります。何メートルもある大判の布にたくさんの動物を描いたり、小さな布に一つの動物や柄を描いてお土産用のコースターを作ったり。藍染めの布の上に動物やレンテン族のモチーフの刺繍が施されていて、どれも見ているだけで笑顔になれる、そしてちょっとクセになる作品です。
ゆるかわ刺繍動物。こちらは、ヤギ?
アカ族の村
さて、次に訪れたのはアカ族の村。アカ族は150〜200年前に中国から移住してきたと言われており、その文化がとてもユニーク。アニミズム(精霊信仰)を強く信仰しており、それは村に入ればひと目でわかるほど。例えば、玄関のドアには悪い魂が家に入ってこないようにオブジェが飾られています。(魔除けのようなものですね)また、家には一つも窓がありません。良い魂は明るい場所を嫌うので、家の中を暗く保つんだそうです。電気が通っていてもなるべく使わないようにしています。
玄関に飾られた魔除け
またいくつかの家には、家の横に小さな建物があります。てっきり倉庫かと思っていたら、これはこの家の子どもに女の子がいる証。アカ族のしきたりでは、女の子は初潮がきたら家を出ます。これまで両親と暮らしてきた母屋のすぐ横に小さな家を建て、結婚するまでそこで一人で暮らさないといけません。そして結婚したらその小さな家を取り壊して、新婚夫婦のための新しい家を建てるのです。この他にも昔からの多くのしきたりが村には残っていて、村人はそれらを守り続けています。しかし時にはそのしきたりが現代の法律に反することもあり、こうした伝統文化が濃く残るがゆえに、街から離れた山の方に暮らしていると言われています。
独身の女の子が暮らす小さな家
実はアカ族は織りや染めはあまりせず、小物づくりが得意。伝統衣装こそ着るものの、それもお正月や結婚式などの特別行事のときだけで(ぜひ一度行ってみたい!)、日常の中には織り染めがない村がほとんどです。
そんな中で、村で椅子を作っているお父さんに出会いました。籐(ラタン)と竹で作られたオールハンドメイドの椅子。お父さんは籐を手に入れるために2日かけて山奥に入っていくそうです。そこから手仕事で生み出される作品。あたたかみがあって素敵です。すっかり気に入って我が家用に買っちゃいました!軽い気持ちで買ったら持ち運びが大変でしたが(笑)座り心地もよく、我が家に馴染んでくれています。ちなみにお父さんが作る椅子は不定期でルアンナムター街中の市場へ売りに行くそうですよ。
子守もしながら製作もするお父さんの作業場
さて、本日のルアンナムターの旅は一旦ここで休憩です。残りの旅の様子もすぐにお届けできるよう準備中ですので、今しばらくお待ちください。
ルアンナムターの旅はつづく。