身近な材料を使うラオスの草木染め。材料や色ごとにラオスの草木染めをお届けしていきます。第一弾の今回は、私たちの生活に身近な茶色。
草木染めのことやラオスの染め子さんたちの様子は以前の記事「ラオスの草木染め」も合わせてご覧ください。
茶色の材料はタマネギの皮
茶色を作り出す材料は、みなさんご存知のタマネギの皮。草木染めでタマネギの皮と言うととてもポピュラーです。世界各国で親しまれており、簡単で綺麗に染まるので最も初心者向けとも言えます。お家のキッチンでも出来るので、草木染め初めてだけどやってみたいという方はぜひここから始めてみてください。
必要な材料
まずはラオスの村でよく使われる量をご紹介します。
・染めるもの(糸、布など) 1kg
・タマネギの皮 2kg
・水 50L
・鉄媒染液 30g
タマネギの皮2kgって…となっている方、ここでは糸の量も1kgですからご安心を(笑)。さらに言うと、この分量はとても濃く染めるための分量です。通常であれば染めるものと同じくらいの重さの皮があればいいので、ご家庭で草木染めを楽しむ場合はハンカチ1枚に対してタマネギ3〜4個分の皮で十分です。いろんな料理に使えるタマネギなので、すぐに材料は確保できそうですね。ラオスの分量通りにやってみたいという方がもしいらっしゃったら、忍耐強く2kg分の皮を蓄えてください(笑)。また染めるもの(糸や生地)の量や仕上がりの色によって材料の量は変わります。
鉄媒染液は、ラオスでは錆びた鉄釘500gをお酢1リットル+水1リットルで煮たものを使っています。日本だと染料店やオンラインショップで簡単に購入もできます。媒染って何?という方はこちらも合わせてご覧ください。まるで魔法!草木染めにおける「媒染」とは
染めるための下準備
材料が揃ったらまずは糸の精練をします。精練とは、汚れや不純物を取り除いて染まりやすくするための工程。染めるもの(糸、布など)を水に約20分浸け置きし、その後灰汁で煮ます。この灰汁は糸や布のヌメリ(油などの成分)を取るのが主な目的なので、気にならなければ水だけで煮ても問題ありません。糸や布のヌメヌメがなくなったら冷たい水でしっかりと洗って絞って干します。染める直前に再び水に5〜10分程度浸けておくことで、さらに染めやすくなります。また、この段階でタマネギの皮を水洗いして土汚れを落としておきましょう。
染色の手順
ラオスでは生地になる前の糸を染める「先染め」と草木で染めたあとに媒染をする「後媒染」が主流なので、このラオスの方法で手順をご説明します。
ざっくりとした手順はこちら。
①材料を煮る
②糸を煮る
③水ですすぐ
④媒染する
⑤水ですすぐ
①材料を煮る
タマネギの皮と水をすべて鍋に入れて約30分間煮ます。沸騰したら濾して再び煮ます。濾してから再度煮ることでタマネギの皮に残った汚れを取り、濃い染液を作ることができます。
②糸を煮る
水につけておいた糸を軽く絞って染液に入れて約30分煮ます。絡まりや染めムラを防ぐために、適宜糸を上げ下げしながら染めていきます。
③水ですすぐ
糸を鍋から上げて十分な量の水で洗います。
④媒染する
鉄媒染液に約20分間浸けておきます。浸けた瞬間に色が暗く変化します。媒染の魔法です。ここでも絡まりや染めムラを防ぐために、適宜糸を上げ下げします。
⑤水ですすぐ
糸を鍋から上げて十分な量の水で洗います。しっかり絞って直射日光の当たらない風通しのいい場所にて干します。
乾いたら完成。
色が薄いなと感じたときは、②、③を繰り返して何度か染色を重ねます。染色の回数を重ねると色が濃くなったり、色持ちがよくなったりします。ラオスでは、一度の染色では色持ち1年、二度の染色で色持ち5〜6年と言われています(その出どころと真相は定かではありませんが…)。
使うタマネギの種類やその個体差、量や染色の時間などによって仕上がりの色が変わってきます。ラオスのレシピ通りに挑戦しても、濃い色が出ないこともあります。でもそれが草木染めの面白さ。同じ材料と分量でも全く同じ色にはならないからこそ、草木染めでは一度作った色を完全に再現するのは非常に難しいとされています。そんな実験のような染色の楽しい時間をご家庭でもお楽しみください。次回の草木染め紹介は何色にしようかなぁ、楽しみにしていてくださいね。