なんでもお手製。ラオスのものづくりと高い技術の手織り


私たちが扱うラオスの布はすべて手織りで織られたもの。一枚一枚時間をかけて人の手で織られています。時間も手間もかかる手織りは、今では世界中で貴重な技術になってきました。そうした中でも実はラオスの手織り技術は高度だと言われています。今回はラオスの手仕事文化や手織りにまつわるお話をお届けします。

ラオスの布の特徴については、よみもの「ラオスの布ってどんな布?」でもご紹介しています。

 

古き良きものづくりの伝統

「古き良き」雰囲気が今も残るラオス。豊かな緑、舗装されていない道路、ご近所との近い距離感。「昔は日本もこうだったのよね〜」なんて言葉をよく聞きます。日本の50年前、いやもっと前でしょうか。

それはものづくりにおいても同じで、大きな工場や最新の機械などはほとんどなく、手作業で出来るだけの量を生産するのがラオスのスタイルです。そのためたくさんの美しい手仕事が見られます。

ものづくり、つまり製造業は家族で小さく営んでいることが多く、「親がやっていたから」というシンプルな理由で先祖代々受け継がれています。みんな自分の仕事に誇りを持ち、自分のペースで作業をする、そんな職人気質が多いのも特徴です。

ラオスの手仕事、竹細工。

 

ラオスの人々は小さなものから大きなものまで、何でも自分で作り上げてしまいます。身の回りの小物類から大きな家具、家までも。一人で出来ないときはご近所さんと協力して。その器用さには本当に感激します。ラオスではものづくりに関しては、誰もが職人かもしれません。

 

ラオスの手仕事の代表、織物

「ものづくり」、「手仕事」と一言に言っても多種多様です。木材、竹、鉄、食品まで数えるとキリがないですが、たくさんある中でもラオスを代表するものが織物。機械化されていく中で、ラオスにはまだまだ手織り文化が残っています。日本の民話「鶴の恩返し」に出てくるような、昔ながらのシンプルな木製の織り機を使って手織りで織り上げます。市街地から少し行くと、村では各家庭の軒先に必ず一台織り機が置かれ、カタコト織り機の音が聞こえてきます。ラオスでは織物=女性のお仕事。家事の合間を縫って織り機へ向かいます。「ちょっと見せて〜」と寄っていくと、「綺麗でしょー?買ってく?」なんて、商い人としてのお仕事もしっかり(笑)。そんな逞しいラオスの女性が織る布は、あたたかく、柔らかく、時にきらびやかで、まるでラオスのお国柄を表すような手仕事です。

 

ラオスの織りの技法

ラオスの手織り布の素材は綿と絹の大きく2つに分けられます。色や柄は派手なものからシンプルなものまでさまざま。その柄は織りの技法と直接関係しています。

そもそも織物は経糸と緯糸を交差させることで作られるのですが、技法というものが世界中に数多く存在します。日本でも「〇〇織り」と言われるものがたくさんあるように、国特有のものがあったり、その地域や民族間でしか見られないものがあったり。


いろんな織りの技法

 

ラオスの代表的な技法は、浮織り(うきおり)、絣織り(かすりおり)、綴織り(つづれおり)。さらにこれらを組み合わせた技法も。ラオスの織物はよく「刺繍みたい」と言われるのですが、これは浮織りと言って文様部分の糸を浮かせて柄を作り上げているためなんです。技法の細かい説明については、今後じっくりとご紹介していきますね。

 

質の高いラオスの手織り技術

実はラオスの手織り布はその質の高さで有名です。周辺のタイやベトナムでも高価な値段で取り引きされているほど。手織り布の質の高さとはつまり、織り子さん(=織る人)の技術の高さ。その手先の器用さなのか、集中力の高さなのか、根気強さなのか、ラオスには昔から高度な織りの技術を持った織り子さんが多いと言われています。

例えば先ほどご紹介した技法をミックスさせた技法があるのですが、それを一枚の織物の中で表現していくのはとても難しく最上位とされる技術。そうした高度な技術を持った織り子さんは各国で時代とともに減少もしくはなくなってしまっているのですが、ラオスではまだ健在なのです。人間国宝にすべきではないかと、常々思っています。(残念ながら人間国宝という概念や制度はラオスにはないのですが…。)

 

日常に溶け込む手織り布を纏う文化

現代でも手織り布はラオス人の生活に密接しています。女性用の伝統衣装である「シン」と呼ばれる巻きスカートがその最たるもの。学校や職場の制服、冠婚葬祭、お寺への参拝など、普段使いから特別な日までラオスの女性にとって欠かせないものです。特に結婚式や仏教行事などでは誰もがとっておきの一枚を纏い、とてもカラフルで美しい織物が見られます。このシンについては、毎日着る伝統衣装?ラオスの「シン」とはでお届けしています。ラオスの手織り布文化、ぜひこちらも合わせて読んでみてください。

 

なんでもDIY文化のラオス。みんながものづくり職人の中で、美しい手織り布を織る技術を持つ織り子さん。そんなものづくりの背景を知ると手織り布の見方もまた少し変わってくる気がします。