みなさま、ご無沙汰しております。長らくMAGAZINEの更新が滞っておりました。今回は、つい先日まで行われていたラオスの旧正月の様子をお届けします。コロナの影響で縮小されていた正月のお祝い事が、3年ぶりに帰ってきました!
4月のラオス正月
ラオスの正月は毎年4月。「ピーマイ」と呼ばれ、一年で最も暑くなる時期に開催されます。東南アジアの仏教国ではこの時期に正月をお祝いする国が多く、ラオスだけでなくタイ、カンボジア、ミャンマーなどが同じ文化を持っています。今年は西暦2023年、仏暦2566年です。仏暦とはブッダの没年である仏滅を基準とする暦法。ブッダの没年を0年としてカウントされます。
今年は3年ぶりにピーマイが帰ってきました!というのも、2020年から3年間はコロナの影響で規模を縮小して開催されていたので、本来のピーマイではなかったんですね。
コロナ禍でのピーマイの様子はこちら→「ラオスの正月は4月!今年は2565年?」
久しぶりのピーマイ、ラオス政府はなんと一週間の休みを発表しました。本来は正月は3日間なのですが、今年は週末にかかっていること、久々のピーマイを盛り上げたいということ(これは噂ですが)もあって、長期休暇に。羨ましいですねぇ。
正月の水かけ祭り
ラオスでは正月=水かけ祭りです。街のいたるところで水かけが行われています。この水かけ祭りには旧年の汚れ、つまり悪いことを洗い流し、新年の幸せを願う意味が込められています。
水かけ祭りというと、タイの「ソークラン」と呼ばれるお祭りが有名ですが、実はラオスもまったく同じ文化なんです。街中で水たっぷりのバケツと水鉄砲、ホースを持った人々が戦闘態勢を整え、車でもバイクでも徒歩でも容赦なく水をかけてきます。通行人を止めてバケツの水を頭から浴びせて来る人も。「水かけ」なんてかわいいものではありません。全身びしょ濡れになるので、自分が濡れることは諦めて、携帯電話などの持ち物を死守することが大事です。この時期はどうやっても平穏な日常生活は送れません(笑)。家に引きこもるか、水かけ祭りに本格参戦するか、もしくは海外避難をするかです。ちなみに私たちは今年はがっつり参戦してきました。
ラオスはこの時期日中は40度近くになります。この猛暑の中、水をかけあうことでとても涼しく過ごしやすくなります。この時期に水かけ祭りをするという行為は理にかなっているなぁ、毎週やったら涼しいだろうなぁ、なんて参加して気付いたこともありました。
街中で水かけをする人たち
古都ルアンパバーンの正月イベント
世界遺産の街ルアンパバーンでは、正月期間はさまざまなイベントが行われます。水かけ祭りはもちろん、象のパレードや美女コンテスト、お坊さんや地元の村が参加するパレード、お寺でのセレモニーなど、古都ならではのイベントが盛り沢山です。
パレードを歩くお坊さん、水をかけられてどこか嬉しそう?
お寺へのお参り
今年はお寺のお参りに地元の友人と一緒に参加してきました。ラオスの正装である伝統衣装を纏って、一年健康で幸せに暮らせますようにとお参りに行きます。この日は旧王宮(現在はルアンパバーン国立博物館)に安置されている仏像を寺へと運び出します。一年に一回正月だけお目見えするとても神聖な仏像です。お参りに行く人のほとんどは旧王宮へ行き、そこから仏像とともに寺へ移動します。綺麗な衣装を纏った人々が集まって仏像に続いて道を歩くので、その様子は自ずとパレードのように見え、この様子を楽しみに見に来る観光客もいます。ちなみにこの仏像は約3日後に再び旧王宮へ戻され、来年の出番を待ちます。
仏像に続いて歩く地元の人々
みんなが手に持っているマリーゴールドの花。これはマリーゴールドとバナナの葉で作られたお供え物です。街の路上で売っていることが多く、お寺にお参りに行く前に買っていきます。名前を書くための紙もついているので、名前や住所を書いて少額のお札と一緒に挟んでおきます。お坊さんは私の名前も見てくれたでしょうか。
道端で売られているお供え物。すべて手作り。
仏像の後ろを歩きお寺へ着くと、多くの人がお参りに来ていました。キラキラした女性の衣装がとても美しく、ついつい見惚れてしまいます。「その織り物いいなぁ〜どこで買ったんだろう」と、お参りとは関係ないところにばかりつい目がいってしまいます(笑)。みんなが座っているこの空間は、新年のために毎年境内に建てられる特設会場です。ここに仏像が旧王宮から運び込まれ、お参りの場となります。
境内の特設会場でお経が始まるのを待つ人たち
買ってきたお供え物は直接お坊さんへ渡します。一人ひとりからきちんと手で受取るお坊さんの様子を見ていると、なんだかすごく有り難い気持ちになります。お供え物を無事に渡せたら座ってお坊さんのお経を聞きます。今年も一年、健康で平穏に暮らせますようにと手を合わせてきました。
お坊さんにお供え物を渡す女性。仏像のまわりに飾られます。
今年の正月は3年ぶりに本来のピーマイが帰ってきたとあって、街のあちこちで水かけ祭りや飲み会が盛り上がっていました。お祭りを楽しむのと同時に、伝統行事への参加も欠かさないラオスの人たち。ラオスでは仏教がとても身近で生活の中に当たり前のようにありますが、やはりその中でも正月のイベントはラオス人にとっても特別なもののようです。毎年こうしてラオスでラオスの正月をお祝いできるのがありがたく、嬉しい限りです。まわりのすべてのものに感謝しなさいと、ラオスが教えてくれているんだなぁと感じます。