ラオス織り物の旅〜北部編〜ルアンナムター vol.2


みなさまこんにちは!

前回に続き、ルアンナムターの旅後編をお届けします。

前編ではルアンナムターに暮らす少数民族のレンテン族、アカ族の村を訪れました。(前編はこちらから→「ラオス織り物の旅〜北部編〜ルアンナムター vol.1」)

後編ではどんな民族と出会うのでしょうか。それでは、すっかり少数民族めぐりになっている旅を一緒にお楽しみください。

 

カム族の村

ラオスの中でも人口が多いカム族。ラオス全国各地の山間部にその居住地があります。昔はラオスの山間地域のほとんどにカム族が住みラオ人よりもその人口は多かったと言われています。同じカム族の中でもさらに地域で分かれ、同じ民族同士でも言葉がわからないことも多いそう。

カム族の伝統的な家は高床式家屋。一階の半屋外部分は倉庫もしくは家畜の小屋として使われており、二階部分が居住スペースになっています。どの家も二階にキッチンとシャワーブースがあり、一見ベランダのように見えるスペースがシャワーブースです。一階には生活に欠かせない薪が保管されていて、この薪の量でこの家のお父さんが働き者かどうかがわかるそうですよ。雨季になる前に大量に採っておかないと、今後の家族の生活に大きく関わるので大事な大仕事です。

二階のバケツが置いてある部分がシャワーブース

 

カム族にはラオスの伝統衣装でもあるシン(巻きスカート)を履く文化があり、織りの文化もあります。地域によっては家に織り機が見られるところも。他にもカム族のハンディクラフトとしては葛で作る丈夫なバッグが有名です。葛バッグは昔から森の中で植物や動物を採る際に使われてきました。最近では安価で丈夫な素材が手に入るようになったので、日常の中で葛バッグを作る様子を見かけることは少なくなりましたが、この日はバッグ作りの準備をしているおばあちゃんとお孫さんに会いました。素材は変わってもバッグ作りの文化は今もちゃんと残っているんですね。市場で買ってきた丈夫な糸を使って伝統的な形のバッグを作るそうですよ。

整経を手伝う女の子

 

モン族の村

東南アジアの民族の中でも有名なモン族。これまでLuLaLaoでもいくつか紹介してきましたが、ハンディクラフトにおいては刺繍が得意な民族です。ルアンナムターで刺繍といえば、前回のMAGAZINEで紹介した可愛らしい動物が特徴のレンテン族の刺繍。一方でモン族の刺繍は幾何学的な模様と蛍光色に近い鮮やかな色がその特徴です。モン族の女性は毎年12月頃に開催されるモン族のお正月に向けて、自分や娘の衣装作りに励んでいます。今回この村では残念ながら刺繍の様子は見られませんでしたが、夏休み中の子どもたちが元気よく遊んでいました。モン族は一家族に平均して56人子どもがいます。活気あふれるこの村では、ついさきほど収穫したばかりのとうもろこしを子どもたちと一緒にいただきました。

 

とうもろこしをおやつに食べる子どもたち

  

タイデーン族

最後に訪れたのは、タイデーン族の村。タイデーン族はその高度な織りの技術からラオスの織り物界隈では有名な民族です。タイ族に分類されるタイデーン族。「デーン」はラオス語で赤を意味します。そのため、織り物にも赤色が使われているものが多く、経糸にも白ではなく赤や黒が使われています。こちらも日中は農作業に出ているので、今回はタイミング悪く織り子さんには会えませんでしたが、織り途中の作品をのぞかせてもらえました。ご家族によると、農作業が終わった夕方以降にお母さんがここで織りをしているんだそう。なんと働き者なんでしょう!

織り途中の作品

 

中国との国境の街の宿命

最後に少し、ルアンナムターの街のお話を。ラオス中国鉄道は、その名の通りラオスと中国を繋いでいます。ルアンナムター駅の次はすぐ中国との国境の駅。鉄道が通って観光客の移動が簡単になった一方で、中国との物流が盛んになり中国ビジネスが入りやすくもなりました。街には大きな中国系ホテルがどーんと建っていたり、中国語のみの看板が見られたりと(ラオスでは看板にラオス語を併記する決まりがあります)、以前にも増して中国色が強くなっていると、地元の人たちは話します。中国資本のプランテーションやカジノで働くラオス人も多く、今回訪れた村にも今は中国資本の会社で働いているという織り子さんがいました。もちろん、自分や家族の生活を考えたら少しでもお給料がいいところで働きたいですよね。でもこうして美しい風景や文化がなくなっていくんだなぁと感じてしまうところ。外の人間である私たちのエゴでしょうか。国の発展と伝統文化の承継は、いつの時代もどこの国でも永遠の課題ですね。

ルアンナムター街の様子

 

今回のルアンナムター織り物の旅は、貴重な少数民族に出会う旅になりました。次回の織り物の旅の準備編、そして同時に文化の承継についても考えさせられる旅でした。ルアンナムターの織り染めは、今秋もしくは今冬に再び見に来たいと思いますので、お楽しみに。他にもまだまだたくさんの少数民族が暮らすルアンナムター。何度も足を運んで民族とその民族衣装を全制覇したいなぁ。