ラオス織り物の旅〜南部編〜Vol.3 セコン


みなさん、こんにちは。前回から長らくお待たせしてしまいました。南部織り物の旅、第3弾はセコンの旅です。

※前回までの旅はこちらから。

1弾チャンパサック / 2弾アタプー

 

ラオスのセコン、ご存知の方がいらっしゃいますでしょうか…?この織り物放浪記では毎回こんな質問をしている気がするのですが、それだけラオスの地方はマイナーなんですよね(ラオスという国自体がマイナーだとよくつっこまれるのですが笑)。セコンはラオスで最も人口が少ない県(ラオスは州ではなく首都と県で分類されます)。それにも関わらず14もの少数民族が暮らすと言われており、南部の少数民族といえばセコンと言われるほどです。仏教徒よりもアニミズムや祖先崇拝が多いので、その影響で比較的お寺が少ないのも特徴。さて、そんなセコンの街中を歩いてみましょう。

 

セコンの街並み

人口が最も少ない街というだけあって、閑静な街並み。走っている車やバイクの数も少なく、街を外国人の私が歩いているととても目立ちます。田舎の街に行けば行くほど外国人に対する免疫がなく恥ずかしがる人が多かったり、じろじろと見られたりするのが普通だと思っていたのですが、この街の人たちは「どこから来たの―?」「どこ行くの?」「こんなとこで何してるの?」とフレンドリーに話しかけてくれるのです。初めての街はいつも少し緊張しますが、こうして話しかけてくれるだけでなんだかホッとしました。

 

観光地としてはあまり有名じゃないセコンですが、実は滝が隠れた名スポットです。織り物の旅の途中でふらっと寄ってきました。迫力満点なフェーク滝。天気にも恵まれ、マイナスイオンをたっぷり浴びてきました。

 

セコンの織り物は少数民族によるもの

冒頭でご紹介したとおり、セコンには多くの少数民族が暮らしています。そのため、セコンの布といえば少数民族の布。それも一つではなくそれぞれ特徴ある少数民族の布がいくつも存在します。そしてその多くが腰機織りで織られています。南部は北部と比べて腰機織りが主流。床に座って腰と足を使って器用に織っていきます。この足の張り具合と力のかけ方で調整しながら織っていくのですが、織り上げるまでにはものすごい集中力と体力が必要です。織り子さんの高齢化が進むラオスですが、織りは頭を使うので年をとってもボケないだろうなぁと、織りの難しさを感じながらそんなことを考えます(笑)。

腰機織り

 

南部少数民族カトゥ族の織り物

ラオス南部の少数民族代表と言っても過言ではないカトゥ族。ラオス南部やベトナム中部に多く暮らしています。カラフルな色使いやユニークな柄の織り物が特徴で、ラオスの布好きの間ではとても人気の民族です。今回はカトゥ族の村にお邪魔して織り子のみなさんにお気に入りの一枚を持ってきてもらいました。見ているだけで元気をもらえるようなビタミンカラーが勢揃い。自分たちで着る伝統衣装、お土産用のストールやテーブルクロスなど大きさやデザインはさまざま。色は毎回自分の気が向くままに決めるのだとか。この色使いのセンスを分けてほしいものです…!カトゥ族の織り物は他にもビーズが織り込まれたものや、ビビッドカラーとは対照的なベージュや黒のようなシックな色使いのものなど、日本人好みのシンプルなデザインも目を惹きます。

 

カリエン族ご夫婦の織り物

セコンのとある村にお住まいのカリエン族のご夫婦。笑顔がとても素敵なお二人は自宅の庭で糸を染め織り物をしています。染めは自宅の近辺から採れる植物を使った草木染め、織り物はもちろん手織りです。染め織りはラオスでは昔から女性のお仕事なのですが、ここでは時々旦那さんも染めのお手伝いをしています。染色は見た目以上に重労働なので、男性の手があるとありがたいですよね。ちなみに、お二人の後ろにたくさんの黒色の糸が並んでいますが、実は黒を草木染めで表現するのは難しいと言われています。こちらのご夫婦が染める黒は少しグレーみのある、柔らかな黒。お二人の人柄がよく出ています。

ご夫婦が染めて織った作品

セコンの旅での少数民族との素敵な出会い。人口が最も少ない県とは言え、多くの民族が暮らすセコンではバラエティに富んだ織り物が見られます。今回ご紹介したのはごく一部。セコンに暮らすすべての民族の織り物をコンプリートするにはまだまだ時間がかかりそうです。もしかしたらまだ誰も知らない民族が暮らしているかも?その多くはまだまだ謎につつまれたまま。今回のセコンの旅はここまでですが、次回はさらに山奥深くまで行ってみたいと思います。