ラオス織り物の旅〜南部編〜Vol.4 サラワン


みなさん、こんにちは。前回から随分と時間が空いてしまいましたが、ラオス南部の織り物の旅、第4弾サラワン編をお届けします。

これまでの南部での旅の様子はこちらから

 1弾 チャンパサック / 2弾 アタプー / 3弾 セコン

 

サラワンは人口約44万人、面積約1万平方キロメートル、西はタイに東はベトナムに国境を接する県です。モン・クメール語系の山岳少数民族が多く暮らしています。少数民族が運営するゲストハウスもあるという情報を耳にしたのですが、残念ながら今回は行けず。次回訪問がかなった際にはご紹介しますね。また、サラワン県内にはコーヒーで有名なボラベン高原もあり、コーヒーブームの近年栽培が盛んになってきています。今回も市街地から離れた村へ織り物を訪ねて行ってきました。そのいくつかをご紹介していきます。

川沿いに並ぶ伝統的な家屋

 

カトゥ族の腰機織り

これまで訪れた南部3県と同様にサラワンでも腰機織りをよく見かけます。こちらの女性はカトゥ族のご出身。カトゥ族といえばセコンの旅でもご紹介しましたが、サワランにも暮らしています。同じ民族でも村や人の雰囲気、織り物の雰囲気まで違っていてとても興味深いです。織り物まで環境に影響を受けるのでしょうか。

腰機織りはその名の通り腰を使って織る技法なので、織る人の腰幅のもの(だいたいマフラーくらいの幅)を目にすることが多いのですが、ラオス南部の織り子さんは腰幅以上の、両手を広げたサイズほどの広い幅のものを織っています。腰機織りは棒と糸さえあれば場所を選ばずに織ることができるため、村の集会所にみんなで集まって織ったり、家の中で子供の世話をしながら織ったりしていました。

腰機織りの織り機

 

カターン族の織り物

山奥深くに暮らす少数民族、カターン族。初めてその名を聞きました。カターン族はご先祖をとても大事にする文化があり、その感謝と敬意を織り物で表しているそうです。カラフルな色にはそれぞれ意味があり、赤色は愛情、黄色は真面目、忍耐、青色は勤勉、緑色は努力。人によってはまた違う意味を込めて織ることもあり、それは家庭によっても異なるそうですよ。ご先祖からの「人は真っ直ぐであること」、「民族はみんなで力を合わせて暮らすこと」という教えを日々守って生活している誇り高い民族です。

 

カターン族の民族衣装

カターン族の伝統的な織りを継承している母娘が民族衣装をお披露目してくれました。お揃いのトップスに民族の文様が入ったシン。願いを込めて自分で織った布を自分で仕立てたものです。素敵な文化ですよね。この民族衣装は結婚式やお祭りなど大きなイベントのときにだけ着る特別なもの。イベントが催される日は村中からカラフルな民族衣装の女性が集まり、村が一気に華やかになります。

 

100歳を超える織り物

サラワンの小さな村に暮らす少数民族のスワイ族。お母さんが手にしている黒と茶色のシックな色合いのシンは、なんと100年以上も前に織られたものです。先祖代々大事に受け継がれてきました。とても100年経ったとは思えないほど綺麗な状態です。戦争などの波乱の時代を乗り越えて、いかに大切に保管されていたのかがわかります。この他にも何十年も前の学生時代に着用していた制服のシン(写真左の白い布)や珍しい色合いのシン(写真中央の緑の布)など貴重な織り物を見せてもらいました。世代を超えて輝くラオスの織り物が娘へ、孫へとこれからも受け継がれていくんですね。この織り物は何歳まで生きるのでしょう。

 

日本で暮らしていた頃、少数民族はどこか遠い国のすごく山奥のことだと思っていました。でも実際にこうして訪ねてみると、私と同じ一人の人間なんだなと、なんだか一気に身近に感じました。歴史や伝統をとても大事にしながら民族同士助け合って生きている。それは自分たちの、また子どもたちの平和な未来のため。深い愛情が伝わってきます。

今回はサラワンに暮らす少数民族の織り物をご紹介しましたが、まだまだほんの一部に過ぎません。これからも未知の世界の冒険にぜひお付き合いください。